大学生の頃、開業医の家の高校生の息子の家庭教師をやっていたことがあります。
始めての日、近所の駅で待つように言われていたので、待っているとそこのお母さんが車で迎えに来てくれました。
黒のスポーツカーに黒革のジャケット&パンツできめていて、
(こいつは金持ちだ。大学合格ボーナスも期待できるぞ。)
と僕の胸は高鳴りました。
車の中で、前の家庭教師は、息子にヘンなこと教えてから、クビにしたと言われました。
ヘンなことって...と遠慮がちに聞くと、
「バイク、それで勉強しなくなったわ」
家に着くと、庭に車が数台止められるようになっていて、別にシャッター付きのガレージもありました。
「次からあなたも車できていいわよ」
といわれて、こんな家にすめたらいいなと思いました。
とても広い玄関に圧倒されながらリビングに行くと、
目前には、堂々とした鹿の首の剥製がこちらを睨んでいるように飾られていました。
つづく
