2003年の春の髭の男の入社と入れ替わりのように、
創業時からのメンバーで会社の名付け親でもある奴が会社にこなくなった。
前にも書いたが、アンカットとは、宝石のカッティングされる前の状態の意味で、
まだ何もできていないけれど、これから何かをやるだろう自分たちにふさわしい
と思って、他のいくつかあった彼の提案の中からみんなで決めた。
彼の言葉には不思議な力があり、芸術的ですらあった。
彼は嘘のような話をするが、その内容は抜群に面白いうえに、豊富な知識が散りばめられている。
出来すぎているが故に、嘘ではないかという若干の疑念を抱えながらも楽しみ、感心する。
多くはその真偽が確かめようがない話だが、中には実際に本当だったことがあとでわかる場合もあり、
僅かに残された疑念も払拭されていく。
特に20年来の付き合いの僕は、疑念が払拭される奇跡的な瞬間に何度も立ち会った経験がある。
そんな長いつきあいの彼だが、彼が思い描いた未来と我々が考えとズレてきていたんだろう。
2003年の夏ごろ会社を辞めることになった。
辞めるときはいろいろあって、正直ムカついた。が、今は治ってる。
今まで何かあると自分の考えと世の中標準と思われる考えを天秤にかけて判断していたけど、
相手の立場の割り切れないなにかや理屈じゃねーんだよってことも受け入れるべきだと思うようになった。
