1999年、学生のころにバブルを経験していて、バブル的な感覚にニブイ世代の僕ら7人は、IT的な会社に勤めていたにも関わらず、ITバブルに沸く世の中にイマイチ気付かないで、毎週のようにカフェに集まって、車の話をしていた。
僕はたいてい、今はもうないそのカフェのカウンターに陣取り、待ち合わせもしてないけどほぼ必ずくる7人のうちの誰かを待ちながら、何時間も過ごすということを毎週のように繰り返していた。
そのカフェは、店名と同じ名前のストロングなコーヒーが売りで、そいつを3杯も飲んで、当時は吸っていたタバコを何本も灰にするころには、腕が震えだすほどストロングだった。
ある日、遅ればせながらインターネットの凄さと、膨大な時間をカフェで浪費していた割にはたくさん強いコーヒーを飲むと腕が震えることがあるという知識程度しか得ていないことに気付いた僕らは、IT的な仕事で得た知識を元に副業で稼いで、好きな車を買いまくろうというヌルイ構想を練った。
バブル世代だけに何でも形から入りがちなので、何で稼ぐかよりも組織名つくりに夢中になった。
毎週カフェに集まって、毎日メーリングリストとチャットを使って連絡を取り合い、ほとんど会社の仕事をしないので、誰もがサラリーマンとしては、危険な立場になったころ、プラウ(今ではスペルも思い出せないけど)という名前に決まった。プラウには北斗七星という意味があって、7人で始めるわれわれにはちょうどいいんじゃないかってことだった。
イマイチ、ピンときていないけど、プラウで走り始めてしばらくたったころ、7人のうちの一人が急に反対しだして、名前は、あっさりアンカットに変わった。急に反対しだしたその男は、現実を夢のように語る男で、言葉で日常の出来事を限りなく甘美なムード変える力をもっていた。
アンカットには、宝石のカッティングする前の状態、つまりは原石という意味があり、これから光輝くかもしれない自分たちを表現したつもりだと彼が語ると、この上なく、いい名前に思えた。
